hc_iraw5’s blog

「ロコーー、ロコーー、行かないでーー。なんで、死んじゃったの……」

ピピピッ……ピピピッ……ピピピッ……

……カチッ

いつもの時間にアラームがなり、ボクは目覚し時計を止めて起きた。

起きると、猫のロコがとなりで寝ていた。

5ヶ月前、幼稚園を卒園したご褒美に、ママがプレゼントしてくれた子猫だ。

ボクのパパは、ボクが幼稚園の時、別の女性と一緒に家を出ていった。

ママはボクに、「ソラ。パパなんだけどね、急に仕事の都合で出張になっちゃって、ソラと一緒に居られなくなちゃったの……」と、言っていたけどボクはなんとなく察していた。

それで寂しい思いをしているのではないかと、ペットショップで働いているママが買ってくれたのだと思う。

ボクはあの時、本当に嬉しかった。

「ソラ、卒園おめでとう。幼稚園3年間がんばったご褒美に、プレゼントを買ってきたよ」

ぼくは何だろうとワクワクしていた。

すると突然、「ニャーー」という声が聞こえた。

ママは焦りながらも後ろに隠していた子猫をソラに見せた。

初めて子猫を見た空は、「わぁー。猫だーー!　わぁーーい、わぁーーい。やったーー!　かわいい」と、喜んだ。

そして、喜んでいるボクに子猫を渡し、ママはこう言った。

「ソラ、新しい家族だよ。幸せにしてあげてね」

「うん。絶対に幸せにするね」とボクは誓った。

ふと。ボクは、ママの言葉を思い出した。

（そうだ幸せにしないと。こんなに幸せそうに寝てるロコを起こしたら可愛そうだ）

そのため、ボクは幸せそうに寝ているロコを起こさないように、そっと起き上がりリビングに向かった。

「ふぁーーあ。ママ、おはよう」

「おはよう空。早くしないと学校に遅刻するよ」

いつもと同じ朝。いつもと同じ会話から始まり、いつものようにボクは学校の支度をする。

支度が終わり玄関に行き靴をはく。

「ママ、行ってきます」

その声で、ロコが目を覚まし近づいてきた。

空は、外に出ないようにロコを抱きかかえて「ロコ、おはよう。今日も学校だから帰ってきたら一緒に遊ぼうね」と、伝えママにロコを渡しボクは学校へ向かった。

小学生なので学校に行くのは当たり前のことだけど、本当はロコと遊んでいたい。

学校が始まる8時から16時の間は、ボクにとって寂しい時間だ。

日曜の夕方。
アニメ『サザエさん』を見終わると『あぁ、明日からまた一週間が始まってしまう……』と、みんなも憂鬱になると思うが、ボクも同じだ。

しかし、ボクの場合は、ロコと遊ぶ時間が減ってしまうから憂鬱になってしまう。
だから、日曜の夜になると寂しくなってしまい、いつも寝る前に眠くなるまでロコと遊ぶようにしている。

もちろん、学校にいる時間は友達と遊んだりして、別に寂しいわけではない。
とはいえ、ロコとも遊びたい。

（あぁ、なんで学校にペットを連れて来てはいけないのかと毎日、疑問に思う。生き物の命の大切さを教えるという意味では、学校に連れて来てもいいような気もするが……）

なので、ボクは学校が終わるとすぐに寄り道をせず、まっすぐに家に帰るようにしている。

また、放課後や休みの日に、友達と遊ぶときは家に呼んで、できるだけロコと一緒に遊ぶ時間を大切にするようにしていた。

【続】

自称小説家です。